宗岡みらい内科ハートクリニック|循環器内科 内科 生活習慣病・心臓病・糖尿病 志木市

2024年春開院予定

脂質異常症の治療

治療で1番の目的は、心筋梗塞や狭心症などの冠動脈疾患の発症または再発を予防することです。

まずは、生活習慣を改善して脂質の値を改善することです。

必要に応じてお薬が必要になります。

脂質異常症の基本治療は、食事療法と運動療法ですが、特に食事療法が大切になります。

脂質異常症と診断された場合、目標値は下の表になります。

管理区分 目標値
LDL Non-HDL 中性脂肪 HDL
一次予防 低リスク <160 <190 <150 ≧40
中リスク <140 <170
高リスク <120 <150
二次予防 冠動脈疾患の既往 <100
(<70*)
<130
(<100*)

一次予防

まず生活習慣の改善を行った後に、お薬を考慮します。

脂質異常症と診断されたが、冠動脈疾患(狭心症、心筋梗塞)や脳卒中などの動脈硬化が原因の病気を発症させないための予防です。

二次予防とは

生活習慣の改善と同時にお薬も検討します。

狭心症などの動脈硬化が原因となる病気で、再発させないための予防です。

* 急性心筋梗塞、糖尿病、家族性高コレステロール血症の場合は、より厳格にLDLコレステロールを70mg/dl、non-HDLコレステロールを100mg/dlより下げなければなりません。

自分がどのリスク管理区分にいるかは、低リスク、中リスク、高リスクは吹田スコアでわかります。

吹田スコア計算式

年齢(歳)

性別

喫煙

血圧(mmHg)

LDLコレステロール(mg/dL)

HDLコレステロール(mg/dL)

耐糖能異常

早発冠動脈疾患・家族歴

結果

脂質異常症を改善する食事の工夫とは?

脂質異常症の最も大切なことは、食事の仕方です。

正しい食習慣により過食を避け、偏食せずに規則正しい食事をすることです。

まず、毎日のちょっとした心がけと工夫を大切にし、下のできることから始めましょう。

  • 1. 朝、昼、夕と規則正しく食べる
  • 2. 寝る前や夜の間食を控える
  • 3. バランスよく食べる
  • 4. お腹いっぱいに食べない、
    腹八分に止めておく
  • 5. よく噛んで食べる

これらは血糖を下げるのにも有効です。

コレステロールを下げる食事の工夫とは?

脂質の中には、LDLを下げたり動脈硬化の進行を遅らせたりできます。
油を上手く選べば、必要以上に脂質をカットした味気ない食事にする必要はありません。

脂質には飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸があります。

肉などに多い飽和脂肪酸は動脈硬化を促進させますが、植物油や魚に多い不飽和脂肪酸はLDLや中性脂肪を下げてくれます。中でも特に取りたいの油は、DHAやEPA、αリノレイン酸、オレイン酸です。

一方、不飽和脂肪酸の中でも、極力避けたい油もあります。

近年話題になっているトランス脂肪酸です。

トランス脂肪酸はL D Lをあげて、HD Lを下げて、動脈硬化を強く進行させるため、欧米では規制を設けている国もあります。

積極的に取りたい

DHA, EPA 食品
血液中のLDLを減らし、
動脈硬化を防ぐ
青背の魚
αリノレン酸 食品
中性脂肪を減らす。
DHAやEPAの原料。
しそ油、亜麻仁(あまに)油
オレイン酸 食品
血液中のLDLを減らし、
動脈硬化を防ぐ
オリーブオイル、べに花油(ハイオレイン)、菜種油

取りたい

リノール酸 食品
LDLを下げるが、
HDLも減らしてしまう
べに花油(ハイリノール)、ひまわり油、大豆油、ごま油

減らしたい

飽和脂肪酸 食品
血液中のコレステロールや
中性脂肪を増やす
バター、肉類など動物性脂肪の多い食品

避けたい

トランス脂肪酸 食品
LDLを上げ、HDLを下げて
動脈硬化を強く進める。
マーガリン、ショートニング

LDLコレステロールを高める食べ物は、動物性の食品です。

飽和脂肪酸の制限

脂身のある肉類、鶏卵(魚卵含む)、レバーなどの内臓系、乳製品、バター、生クリーム、お菓子、インスタントラーメンなど加工食品、ココナッツオイルなどの飽和脂肪酸の摂取を制限しましょう。

代わりに不飽和脂肪酸を摂取するようにしましょう。

アボカド、ナッツ、種子、べに花油、オリーブオイル、青魚などの食材が良いです。

高食物繊維の摂取

食物繊維はコレステロールの吸収を阻害して腸内健康を促進する助けとなります。

野菜、果物、穀物、豆類などの食物繊維を豊富に含む食品を食事の最初に摂取しましょう。

また、植物にはほとんど含まれていないため、植物性の食品、特に野菜の食べる量を増やすことが効果的です。

野菜には、細胞を傷つける活性酸素を無毒化ビタミン類が豊富です。さらには、ビタミンCは血管を強くし、ビタミンEは血流を良くします。

これらが多く入っているのが、トマト、カボチャです。

また、大豆にはLDLコレステロール値を下げる効果があり、豆腐や納豆などは抗酸化作用があり、血液をサラサラにするので食事に取り入れると良いです。

カテキンが含まれる緑茶にはLDLコレステロールの吸収抑制効果があります。

オリーブオイルは、HDL(善玉)コレステロールを下げずに、LDLコレステロールを下げるので、食事に取り入れるのも良いです。

オメガ-3脂肪酸の摂取

オメガ-3脂肪酸はLDLコレステロールを下げる効果があります。

魚(サーモン、マグロ、サバなど)、亜麻仁、チアシードなどのオメガ-3脂肪酸を含む食品を摂取するようにしましょう。

特に青魚にはEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)が多く含まれ、これらは血液中のコレステロールや中性脂肪を減らし、血液をサラサラにしてくれる効果があり、血管の壁の新陳代謝を促進します。

トランス脂肪酸の排除

フライドフード、スナック菓子、パッケージされた焼き菓子などに含まれるトランス脂肪酸は、LDLコレステロールを上昇させる可能性があります。

これらの食品を避けるか、摂取を極力減らすようにしましょう。

減塩食

高血圧とLDLコレステロールは関連している場合がありますので、食塩の摂取量を減らすことが重要です。

加工食品や加塩食品の摂取を制限し、調味料やハーブで味付けすることを試みましょう。

赤ワインの適度な摂取

ポリフェノールとして知られる成分が含まれている赤ワインは、適度な量で摂取するとLDLコレステロールを下げる助けとなる場合があります。

ただし、アルコールの摂取は個人の健康状態に応じて医師と相談する必要です。

中性脂肪を下げる食事

中性脂肪(トリグリセリド)が高い原因の一つは、アルコールを含めた糖質や脂質など含む食べ物の過剰摂取です。

まずは、アルコールと糖質を控える!!

糖質の制限

炭水化物、糖質の多い食事は中性脂肪の上昇につながります。

砂糖、甘い飲み物、加工された穀物やスナック、菓子類などの摂取を制限し、糖質の摂取量をコントロールしましょう。

飲酒後のラーメンなどは控えましょう。

アルコールの制限

過度のアルコール摂取は中性脂肪を増加させることが知られています。適度な範囲内でのアルコール摂取を心がけましょう。

減量とカロリー制限

過剰なカロリー摂取は中性脂肪の蓄積を促進しますので、適切な体重を維持するためにカロリー摂取を調整する必要があります。

飽和脂肪酸の制限

食事中の飽和脂肪酸の摂取量を減らすことが重要です。

バター、高脂肪乳製品、脂身のある肉類、鶏卵(魚卵含む)、レバーなどの内臓系、皮付きの鳥肉、加工食品などに多く含まれていますので、これらの食品の摂取を制限し、代わりの脂肪源として不飽和脂肪酸を摂取しましょう。

魚や健康的な脂肪の摂取

ω(オメガ)-3脂肪酸を含む魚(サーモン、マグロ、サバなど)や脂肪源(アボカド、ナッツ、種子)を摂取することで中性脂肪が下がりやすくなります。

高繊維食品の摂取

食物繊維は消化を促進し、中性脂肪の吸収を抑制するのに役立ちます。

野菜、果物、全粒穀物、豆類などの高繊維食品を積極的に食事の最初摂取しましょう。

これらを意識した食事をすることを心がけると良いです。

さらには、運動も積極的に取り入れましょう。

最後まで読んでいただき、どうもありがとうございました。

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