糖尿病の合併症
絶対知って欲しい一番大事なことは、糖尿病の合併症などによって、男女ともに平均寿命が70歳前後と短くなることです。
つまり、糖尿病が無い方と比べて、男性で約10年、女性で約15年と寿命が短くなってしまうということです。
合併症の分類
糖尿病の合併症は下のように大きく2つに分けられます。
糖尿病は血糖が高い状態が続くことで血管の壁を傷つけてしまう病気です。
毛細血管を傷つけてしまう合併症
いわゆる三大合併症です。
- 1. 糖尿病神経障害(発症して5年前後)
- 2. 糖尿病性網膜症(発症して10前後)
- 3. 糖尿病性腎症(発症して15年前後)
大きな血管を傷つけてしまう合併症
動脈硬化を進行させてしまう病気です。
- 1. 心筋梗塞、狭心症
- 2. 脳梗塞
- 3. 閉塞性動脈硬化症
これらの合併症と伴うと、命の危険のほかに、「生活の質」も落ちることがあります。
合併症を防ぐために、HbA1c 7%未満を目指して、血糖の値を良くしなければなりません。
そのためには、定期的なチェックが大切です。
糖尿病治療の3つのポイント!
うまく「コントロール」しましょう
糖尿病は、「治す」よりも「コントロールする」病気です。
うまく糖尿病と付き合っていくのが大事です。
最初は、食事や運動はできることから少しずつ継続していきましょう。
数値の記録が大切です
定期的に血糖値、体重や血圧などを測定して、記録しましょう。
これらの値が望ましいコントロールの範囲だと、治療を継続するための励みになります。
生活習慣の改善と継続
治療の中心は生活習慣の改善と長く続けることが大切です。
食事をはじめ、生活にかかわるご家族などに、糖尿病を理解し、支えてくれる方をみつけましょう。
医師などの医療従事者もサポーターです。
自分にあった食事と運動で、最初から頑張り過ぎずに継続すれば、必ず良い結果がでて、糖尿病はよくなります!
糖尿病の治療の流れ
治療の基本は、内服の有無にかかわらず、食事療法と運動療法です。
最近、糖尿病治療薬は目覚ましい進歩を遂げておりますが、運動療法と食事療法をおろそかにしてしまうと、十分な効果を発揮しません。
食事と運動をおろそかにすると、薬が効きにくく、薬が増える原因となります。
血糖がひどくなるとインスリンが必要になります。
逆に食事と運動で、お薬を減らしたりすることができます。
血糖値の目安
血糖が良いである指標は、
- 1. HbA1c 7%未満
- 2. 空腹時の血糖値130mg/dl未満
- 3. 食後の血糖値 180mg/dl未満
となります。
糖尿病治療の戦略
糖尿病の治療戦略は、大きく3つあります。
- 1. 食事療法
- 2. 運動療法
- 3. 薬物療法
治療の実際は、生活習慣の改善で、血糖の値が良くないとき、お薬の開始を検討します。
さらに血糖の値が悪い、お薬の効きが弱くなってきた場合、インスリンを考慮します。
しかし、生活習慣の改善で様子を見ないで、すぐにインスリン療法が必要になる場合もあります。
お薬の開始の目安は?
最初にすること
緊急性がない場合は、数ヶ月の間は生活習慣(運動や食事)の改善で、血糖値を下げることを試みます。
改善がない場合は、お薬の開始を検討します。
血糖が良くない指標は、下のようになります。
- 1. HbA1c 7%以上
- 2. 空腹時の血糖値130mg/dl以上
- 3. 食後の血糖値 180mg/dl以上
糖尿病の薬はどんなのがある?
血糖を下げる糖尿病のお薬は、インスリンの分泌を良くするもの、効きを良くするもの、食事でとった糖の分解吸収を遅らせるもの、糖の排泄を尿へ促すものがあります。
細かく分けると、作用機序の違いから大きく分けて8種類あります。
最近では、ただ血糖を下げるのみならず、脳梗塞や心臓病発症や再発、腎臓病の進行も抑えるお薬も出てきております。
お薬が始まると・・・
まず、一人ひとりのからだの状態に合わせて選択します。
まずは1剤から開始して血糖値などを参考にしながら、変更や追加などしてお薬を調整していきます。
逆に血糖の値が改善したら、お薬を減らしたりすることもできます。
糖尿病がすごく良くなったら、お薬がいらなくなる可能性はありますが、お薬がいらなくなった = 糖尿病が治った!ではありません。
一方で、HbA1c 9%以上が続く場合は、インスリン療法の導入を積極的に検討しなければなりません。
食事や運動も心がけましょう
お薬が始まったら、血糖の値は改善することが多いですが、食事や運動を油断すると、お薬が始まっても、さらに血糖が悪くなることもあるので、注意しましょう。
インスリンが必要になるケースは?
インスリンの働きは?
インスリンはすい臓から分泌され、血糖を下げるホルモンです。
インスリンによって、糖は筋肉などへ送り込まれ、エネルギーとして利用され、血液の血糖が下がります。
インスリンが必要な病状は?
絶対に必要なのは?
- 1型糖尿病
- 糖尿病性昏睡・ケトアシドーシス
- 重度の肝障害・腎障害・感染症
- 妊娠
絶対ではないが考慮すべき病状は?
- 著名な高血糖(血糖値300mg/dl以上)
- 内服していてもHbA1c 9%以上
- 尿中ケトン体陽性
最近のインスリン治療
インスリン治療はやめられる?
糖尿病の治療は、まずは食事療法・運動療法、その後の血糖が良くない時にお薬が選択されますが、近年では早期のインスリン治療の導入が推奨されております。
その理由は、インスリンの分泌が極端に低下してしまった状態からのインスリン治療を導入するよりも、分泌が残された状態で治療導入した方が、すい臓を保護することができるからです。
インスリン治療を早期導入した結果、ご自身のインスリン分泌が良くなり、血糖の値も改善してインスリン中止が可能になります。
インスリン治療の実際
インスリン分泌は、1日中ほぼ一定量が分泌される基礎分泌と、食後の血糖が上がることで分泌される追加分泌とがあります。
インスリン治療では、「基礎分泌」と「追加分泌」のインスリン分泌パターンを再現して、血糖を下げることを目標とします。
インスリン注射は、
- 1. 足らないインスリン量を、
- 2. 足らない時間帯に、
- 3. 必要なインスリンを補充する。
一人ひとりの血糖の値とインスリン分泌の状態にあわせて、1種類または2種類のインスリンを1日1~4回注射し、血糖の良い状態をつくっていきます。
生活習慣の改善が大切です
インスリンが開始にならないよう、または中止できるように、生活習慣の改善点を医師と相談し、アドバイスを受けましょう。
必要ならば、栄養指導も受けましょう。
自分の状態を把握しましょう
糖尿病の治療内容が、一段階ステップアップしないように、自身の血糖の状態を把握して、医師と良く相談しながら、治療にのぞみましょう。
また、糖尿病の治療中でも、三大合併症の早期発見、動脈硬化の進展の有無を定期的にチェックすることが大切です。
最後まで読んでいただき、どうもありがとうございました。