高尿酸血症とは、血液中の尿酸の値が7.0mg/dlを超える状態をいいます。
高尿酸血症とは?
- 1. からだの中に、分解するプリン体が多すぎて尿酸がたくさん作られる状態
- 2. 尿酸がうまく腎臓から排泄されない状態
を指します。
つまり、尿酸が体内にたくさん作られてしまったり、排泄が低下してバランスが崩れたときに、高尿酸血症になります。
男性では、30代から多くなり、女性では閉経後から多くなります。
尿酸って何?
からだの細胞は新陳代謝で日々新しい細胞に入れ替わっています。
古い細胞が壊されたときに、細胞の遺伝子からプリン体が作られ、肝臓へと運ばれていきます。
プリン体は食品や体内の細胞の核酸(DNAやRNA)に含まれており、私たちの食事や細胞の代謝によってプリン体が分解されると、尿酸が形成されます。
老廃物の尿酸は最終的に腎臓に運ばれ尿となって体外に排泄されます。
尿酸濃度が高い場合
血液中の尿酸濃度が異常に高いと、高尿酸血症になります。
ほとんどの尿酸は通常腎臓でろ過され尿として体外へ排出されますが、尿酸の生成が過剰であるか、または排泄が不十分であることから、高尿酸血症を引き起こします。
尿酸値が高くなりやすい人
尿酸値が高くなりやすい人とは、
- 1. プリン体を体内で作るアルコールの量が多い
- 2. プリン体を多く含む食事が多い
- 3. 肥満
などが主な原因です。
肥満になると
メタボリックシンドロームや肥満では、インスリンの分泌が過剰状態になります。
そうなると、尿酸が腎臓からうまく排泄できなくなり、尿酸の値が高くなります。
1番の知って頂きたい原因
プリン体は、体内で70~80%作られるのに対して、食事からの摂取は20~30%程度だということです。
つまり、尿酸値をあげないためには、プリン体を作らないようにすることがより大切です。
主な原因はアルコール
プリン体が体内で作られる主な原因は、アルコールです。
アルコールを分解するときに、プリン体が作られます。
プリン体が少ない蒸留酒(ウィスキー、ブランデー、焼酎)や発泡酒を選ぶことも大切ですが、飲む量が多ければ、自ずとプリン体も増えるので注意が必要です。
プリン体を多く含む食事とは
- 1. 魚の内臓が入っているもの(あん肝、しらす、アンチョビ、イワシ、干物類)
- 2. 煮干し、干し椎茸、かつお節(水に溶け出す)
- 3. カツオ
- 4. レバー類(鶏、豚、牛)
- 5. えび、かに
などに多く含まれています。
高尿酸血症はなぜいけないの?
血液中の尿酸が高い状態が続くと、血液中に尿酸の結晶を作って、からだの様々な部分に沈着して炎症を起こします。
代表例は、痛風です。
高尿酸血症状態が長く続くと、高血圧やメタボリックシンドロームなど生活習慣病や心筋梗塞、慢性腎臓病などの合併が多くなります。
高尿酸血症になったらどうなるの?
からだ中の様々な臓器に影響を及ぼします。
- 1. 痛風発作(関節炎)
- 2. メタボリックシンドローム
- 3. 心不全、心筋梗塞
- 4. 慢性腎臓病
- 5. 尿路結石症
などに関連するとされています。
高尿酸血症が長く続くと腎臓の機能も低下させ、慢性腎臓病の原因となります。
なお、脳卒中との関連は薄いとされています。
痛風とは
痛風とは、関節の中や関節の周囲に尿酸結晶が沈着して急性炎症を起こし、激痛を伴います。
「風が吹いただけでも、痛い」と例えられています。
痛風の特徴
- 1. 中年男性がなりやすい。
- 2. 最初は違和感などの前兆があり、その後は24時間以内にピークに達する疼痛。
- 3. 夜に発作を起こしやすい。
- 4. 10日ほどで自然に治ります。
- 5. 足、特に親指の関節に炎症を起こしやすく、発赤して腫大します。
- 6. 無治療だと、発作が頻回になり、関節や骨を壊して結節(しこり)を作ります。
- 7. 痛風の合併症として、尿路結石もあります。
尿酸値が高いと指摘されて、5年くらい経過すると痛風発作を起こしやすくなります。
注意
痛風発作中の尿酸の値が低いこともあります。
したがって、発作中の血液尿酸値は必ずしも高くはありません。
どんなときになりやすい?
- 1. 手足が冷えたとき
- 2. 暴飲・暴食の後
- 3. 激しい運動(特に筋肉トレーニングなどの無酸素運動、乳酸がたまる運動)
- 4. ストレス
- 5. 急激な尿酸値の変化
と報告されています。
痛風の前兆
激痛が来る前に、関節が、
- 1. むずむずする
- 2. ピリピリ感じる
- 3. 違和感を感じる
- 4. 何となく変な感じがする
があることが多いです。
尿酸値が高いと指摘されて5年以上経過している場合は、痛風発作の前兆かもしれません。
痛風のときの薬は?
痛風発作で痛みがあるとき、治療をしないと3日くらい痛みが変わらず、7日後も大半は痛みが続いていると言われています。
痛風の痛みは強く、生活の質が落ちるので、原則的にお薬の治療となります。
痛み止め薬(多くは消炎鎮痛剤)をできるだけ早く開始して炎症を抑えます。
症状が無くなったら、速やかに中止します。
腎臓が悪い場合は、消炎鎮痛剤ではなく、ステロイドを使用することもあります。
痛みが落ち着いて、炎症が治まったら血液中の尿酸のコントロール(目標尿酸値6.0mg/dl以下)をしないといけません。
尿路結石発作を発症させないためには
痛風の重要な合併症である尿路結石の予防には、飲水と尿をアルカリ化が大切になります。
- 1. 飲水量は1日2,000ml以上が推奨されています。
- 2. 尿をアルカリ化するには、クエン酸が多い食事が良いです。具体的には、みかん、レモン、かぼすやライム、シークワーサーなどの柑橘類、梅干に多く含まれています。
事前の予防が大切
痛風などの激痛を発症しないように事前の予防が大切です。
特に30~40代の人で、食生活が乱れなど心当たりがある場合は尿酸値のチェックを行いましょう。
最後まで読んでいただき、どうもありがとうございました。