宗岡みらい内科ハートクリニック|循環器内科 内科 生活習慣病・心臓病・糖尿病 志木市

2024年春開院予定

高血圧の治療

生活習慣の改善はまずできるところから、少しずつが大切です。

また、組み合わせをすることで効果が高まります。

血圧を下げる食事にはどのようなものがあるでしょうか。

1. 食事の仕方

野菜、果物、低脂肪乳製品(ヨーグルトなど)をよく摂取し、コレステロール、飽和脂肪酸(肉など動物性の油)が少ない食事が推奨されています。

野菜や果物などカリウム多く含む食物は、ナトリウムの吸収を抑えて、血圧低下の効果があります。

ただし、カリウム制限が必要な腎臓病の人は推奨されません。

2. 減塩(6g/日未満)

塩分(ナトリウム)含有量の少ない香辛料にしましょう。

食品表示法ではナトリウムを食塩相当量(g)で表示することが義務づけられています。

塩分制限の基本的なポイント

塩分制限の仕方について、いくつかの基本的なポイントをお伝えします。

食品のラベルを確認する

食品の栄養成分表示やラベルをチェックし、塩分の含有量を確認しましょう。

塩分が高い食品(加工食品、保存食、スナック菓子など)は避けるか、適度に摂取するように心掛けましょう。

自炊をする

自宅で料理をすることで、塩分の摂取量をコントロールできます。

加える塩の量を減らしたり、塩の代わりにハーブやスパイスを使用したりすることで、料理に風味を与えることができます。

減塩調味料を使用する

塩分を減らすために、低ナトリウムの調味料や減塩調味料を使用しましょう。

また、醤油やソースなどの塩分の高い調味料を控えることも重要です。

新鮮な食材を選ぶ

新鮮な果物、野菜、魚、肉などの食材を積極的に選びましょう。

加工食品や缶詰の食品は通常、塩分が多く含まれています。

レストランでの注意

外食する際は、塩分の多いメニューや調味料を避けるようにしましょう。

料理に使用される調味料やソースの塩分量は、自宅での調理と比べて高い場合があります。

塩分の代替品を使用する

塩分の代わりに酢やレモン汁、ハーブやスパイス、酢漬けの食材などを利用して味付けをすることで、塩分の摂取量を減らすことができます。

食事のバランスを考える

塩分制限とともに、バランスの取れた食事を心掛けましょう。

十分な野菜、果物、全粒穀物、健康的な脂肪、タンパク質を摂取することが重要です。

塩分の多い食品

加工肉製品

ベーコン、ソーセージ、ハム、ウィンナーなどの加工肉製品には多くの塩分が含まれています。(100gあたり1.0~2.0g)。

特に、生ハムには塩分が多く含まれています。

塩漬けや塩蔵食品

塩漬けの野菜、漬物、魚の塩辛などは塩分が多く含まれています。

スープや調味料

スープの素、ソース、ケチャップ、マヨネーズ、ドレッシングなど、調味料やソースには塩分が多く含まれている場合があります。

缶詰食品

缶詰のスープ、缶詰の魚、缶詰の野菜など、缶詰食品には塩分が含まれています。

加工された穀物製品

スナック菓子、クラッカー、パン、シリアルなど、加工された穀物製品にも塩分が含まれていることがあります。

チーズ

塩分が多く含まれているチーズには、フェタチーズ、ブルーチーズ、パルメザンチーズなどがあります。

※食品の塩分含有量はメーカーによって異なる場合があるため、食品のラベルや栄養成分表を確認することが重要です。

塩分量のグラフ

塩分量のグラフ

毎日食べる主食の塩分

毎日食べる主食の塩分

副菜の塩分

副菜の塩分

3. 脂質

魚、特に青魚を積極的に取り入れることが大切です。

4. アルコール制限

過度の飲酒は、高血圧の原因となると言われています。

男性はアルコール25ml/日以下、女性は15ml/日以下が目安です。

目安として、ビールの中ビンで1本、日本酒1合、焼酎0.5合弱、ウィスキー・ブランデーはダブルで1杯、ワイン2杯弱です。

女性はその半分の量となります。

5. 禁煙

受動喫煙の防止も大切です。

すぐにお薬が必要な高血圧とは?

本態性高血圧と診断されたら、基本は塩分を控えたり、野菜を多くとったり、運動をしたりと生活習慣の改善をして、1~3ヶ月後にもう一度評価します。

一方で、今すぐお薬による治療が必要なリスクが高い人もいます。

すぐにお薬を飲んだ方が良いと推奨されている人(リスクが高い)は、下記の通りです。

血圧130/80mmHg以上あり、1~5のいずれかを満たす

血圧160/100 mmHg以上あり、いずれかが該当する

これら2つに該当した場合は、様子をみずに血圧のお薬を始めることが推奨されています。

治療目標

治療目標は、年齢や背景などで変わってきます。

診察室血圧 家庭血圧
成人(75歳未満) 130/85 mmHg未満 125/80 mmHg未満
高齢者(75歳以上) 140/90 mmHg未満 135/85 mmHg 未満
糖尿病・心筋梗塞・慢性腎臓病 130/80 mmHg未満 125/75 mmHg未満
脳血管障害(脳卒中) 140/90 mmHg未満 135/85 mmHg未満

高血圧のお薬

高血圧治療ガイドラインでは、下のいずれかのお薬を第1選択薬として推奨しております。

これで良好な血圧コントロールが得られなければ、他の2つを組み合わせ、それでだめなら3つ全部を併用することを推奨しております。

カルシウム拮抗薬

降圧薬として使用されるカルシウム拮抗薬は、特に末梢血管(末端の血管)を拡張させ、血圧を下げる効果があります。

カルシウム拮抗薬は一般的に安全性が高く、他の高血圧治療薬と併用されることもあります。

一部のカルシウム拮抗薬を高齢者へ高用量投与すると、薬の代謝や排泄が低下しているため、効きすぎて、脈拍数が下がり過ぎて、めまいやふらつき、失神することがあります。

一部のカルシウム拮抗薬は、グレープフルーツと同時摂取すると、薬の血中濃度を上昇させ、血圧をさらに下げる可能性があります。

ACE阻害剤(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)
ARB製剤(アンジオテンシンII受容体拮抗薬)

このお薬は、カルシウム拮抗薬に比べて、血圧を下げる効果はマイルドです。

このお薬は、血管を収縮させたり、ナトリウムや水分の排出を抑えて血液量を増やして血圧を上げるホルモンをブロックして血圧を下げます。

1番の利点は、心肥大改善・心不全悪化予防などの心保護作用、腎臓機能低下を防ぐ腎保護作用などがあり、 糖尿病においては糖尿病腎症の進行を遅らせる作用があり、生活習慣病の方では特に有用な血圧を下げるお薬です。

ACE阻害剤は1~5%の割合で、痰がからまない乾性で持続性の咳(空咳)の副作用を認めます。

その特性を利用して、ACE阻害剤の誤嚥性肺炎予防効果も注目されています。

副作用である空咳で誤嚥を予防します。

サイアザイド系利尿薬

このお薬は、体内の水分・ナトリウムを排泄して血圧を下げ、むくみ(浮腫)が改善します。

主に食塩感受性高血圧、治療抵抗性高血圧などに対する降圧薬として一般に汎用されることが多いです。

このお薬は、血圧を下げる作用は強くないのですが、他の降圧薬と少量併用すると降圧効果が増強することから、 ARB製剤やカルシウム拮抗薬と少量で併用されることが多いです。

β遮断剤

このお薬は血管を拡張させて、血圧を下げるのみならず、心拍数も減少させ、交感神経の緊張を緩めて心臓の負担も軽減します。

そのため、慢性心不全には健康に生活できる期間や寿命を伸ばすことが期待できるお薬でもあるので、特に心臓の機能が弱くなっている方にはとても有効です。

一方、コントロールされていない気管支喘息や心不全がある場合は、病気を悪化させる恐れがあるために、医師の指示に従って使用する必要があります。

ARNI(アンギオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬)

過度に血圧を下げることもあるので、降圧薬としては、第一選択薬ではありません。

ACE阻害薬又はARB製剤で十分に血圧が下がらない場合、 24時間にわたる降圧が必要な高血圧、減塩困難な高血圧、心疾患を有する高血圧の方が良い適応となります。

特に心疾患(心不全)を持っている場合は、突然死や心不全入院を抑制する効果があり、近年注目されている新薬です。

α1遮断薬

血圧を上げる神経の働きを抑えて、血管を広げて血圧を下げます。

早朝高血圧は心血管疾患リスクになりますが、このお薬の眠前投与がこれに有効であるとされています。

また、肥満やメタボリックシンドロームに対して、インスリン感受性を改善し脂質代謝を改善します。

しかし、代謝や血圧の日内変動に対する良い効果にもかかわらず、このお薬が心臓血管死予防の十分なエビデンスがないこと、立ちくらみやめまいなど副作用が多いので第1選択薬として使用されておりません。

そのため、このお薬は治療抵抗性高血圧や早朝高血圧、褐色細胞腫に使用されることが多いです。

高リスクの高血圧か確認しましょう

高血圧とわかったら、自分が、脳卒中や心臓病が高リスクの高血圧なのかを認識し、高リスクであれば、医師に相談しましょう。

高リスクではなくとも、きちんと生活習慣の是正をして医師による診察を受けましょう。

最後まで読んでいただき、どうもありがとうございました。

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